Summer ADI 2012

 帰国後、新宿の中央線のホームまでエスカレーターがないことに腹が立ったけど、階段の途中から私の20kg近いスーツケースを持って上ってくれた酔っ払いサラリーマンの優しさに感動し、
日本を実感しました。ADIより帰還した広報上坂です。

って帰国直後に書いてから随分時間が経ってしまいました。毎度ですね。

 ADIトーナメントでブレイクした世永くんに感想レポをお願いしようと思っていたら依頼する前に事前に断られました、いつも誰かに押し付けてばかりのお前がやれよと言われてしまいました。
というわけで今回は上坂が書くことになったわけですが、自分でやってみて初めて分かる苦労とはよく言ったもので、書きながら筆が進まな過ぎて本当に今すぐ放棄したいくらいです。
こんな面倒なことをみなさん急かされながらやってくれていたのね、ありがとう。
そして私も今回で感想レポート処女を喪失したので次回以降また自分以外にどんどん振っていく所存です。みなさま今後ともよろしく。

 さてさてADIです。韓国ChungAng Universityで毎年行われるディベートのセミナーで、主に韓国・中国・日本・台湾の様々な大学から学生が集まります。大きく分けて前半はレベル別小人数のラボ、後半は全レベルを混ぜたトーナメントが開催されます。Hit-Uからは2年生の今・世永・北野・上坂の4人で参加しました。
ざっくりスケジュールをご紹介しますと、BP全般のレクチャー、アセスメントディベート、ラボ、イレクティブ(という名のレクチャー)、トーナメントという感じです(本当にざっくり)



 アセスメントディベートは全体の参加者の中からランダムに組まされたペアで一人2回のBPラウンドをやり、そのスピーカーズスコアに基づいて配属されるラボが決まります。私は韓国人の男の子と組むことになったのですが、まずその子にBPのwhipをやったことないからやってよとせがまれ、更に僕は用事があるからR2まで残れないので他の子と組んでと言われ、ラウンド中はその子と同じ大学の女の子(サイドは同じだけど違うチーム)に「このモーション、なに言えばいいの?」と相談されるなど、色々と驚きの連続でした。笑
 
 そんな感じでアセスメントディベートの結果は上から4番目のintermediateのクラス。同じラボにはHit-U北野やSDS、UTなどから日本人も何人かいて少し安心^^
ラボのレクチャラーはLokeとValeriで、更にラボは2つに分かれて私はValeriのグループに。
ValeriはUniversity of the Phillipines出身のディベ―ターでそれはそれはすごい人なのですが、私はたまたま、先日クアラルンプールで行われたUADCという大会の初戦でValeriのチームと当たらせてもらって話したことがあったということもあり(当然ぼろくそに負けたのですが)、彼女のラボに入れたことはラッキーだったと勝手に思っておりました。

Valeriと。

 ラボ期間中はそれぞれやっている内容は様々で、BPラウンドばかりを1日中やっているラボもあれば、ラウンドをやりつつその議題についてのレクチャーをひたすら受けるというところもありました。中には、ラウンドのスピーチ中にレクチャラーからストップが入り一人一人細かくスピーチを直されるという形式の練習を取り入れたラボもあったようです。私たちのラボは一日にラウンドは2回ほどで、そのモーションについてのケーススタディやレクチャーの比重が多かったように思います。Court, Animal rights, Media, GenderやRace(Social movements), Privatize系, EU CrisisとかSubprimeの背景的な知識とかとかどれもメモを取りきれないぐらいに中身の濃いレクチャーで、Valeriは私たちの質問にも丁寧に答えてくれ、朝9時から夜6時までのラボがあっという間に感じられました(でも終わった後はちょーぐったりしていつも帰っていました笑)

 ここで授業以外の話をすると、ADIでは食事や宿泊、通学などはほぼ全て個人でどうにかします。まず宿泊に関して、私たちHit-Uは、毎年ADI参加者の日本勢が利用するゲストハウス「イエローサブマリン」にKDS,UT,ICU,WADの皆さんと共同で滞在させていただきました(その節はKDSの野原もなみちゃん他皆さん、大変お世話になりました(>_<))
 食事は、朝はイエローサブマリンにストックしてあるトーストを食べるか行きがけに自分で買うかの2択、昼食夕食は完全に外食でした。私や北野は朝にすこぶる弱いのでぎりぎりに起きてぎりぎり電車に乗って(途中からタクシーで(ちなみにタクシーは片道約800円、2,3人で割れば地下鉄と変わらないし、何より速い!))、朝と昼いっぺんに大学近くのパン屋さんで買っていつもラボ開始前に食べていました^^;
 夕食に関しては、ChungAng Universityの大学通りやイエローサブマリンのある弘大(ホンデ)の駅近くにご飯を食べるお店は沢山あるので(韓国料理屋さんがほとんど)、滞在中食事に困ることはなかったです。笑

 さて閑話休題。こうしてラボを終え、次はいよいよトーナメント…と言いたいところですが、その前にイレクティブという自分の好きなテーマを選んで各40分の講義を聞ける授業のようなものが入りました。イレクティブの内容は、宗教やIRなどの背景知識をひたすら詰め込んでくれるものから、ユーモアの効いたスピーチの仕方を学ぶ講義まで本当に様々で、自分のラボと違うレクチャラーの話が聞けるところが魅力です。
ちなみに私が選んだのは
1.Modern Conflicts(Case Study: Palestinian national liberation struggle) by Noura
2.Rights→how to debate them by Robin
3.Contextualization by Mina
4.Identifying and Delivering Effective Rebuttals by Christy
の4つでした(一つ一つの授業内容について話すと本当に長くなるので割愛しますね;)

 ようやくトーナメントの話に入ります。トーナメントは60チーム参加の32チームブレイクで、上から3番目までのオメガのクラスだけが(オメガ同士のペアで組んだ場合)10チームまでのキャップが付いていました。私は同じ4番目のクラスのHit-U北野美穂と組んだので("Eating Girls"というチーム名)、残り22チームの枠内に入れればブレイクできるので頑張ろうと二人で言っていたし、それだけの結果が求められるクラスに入れてもらったと思います。
 と、ここまで書いたところでお分かりだと思いますが、実際にはそうした好条件だったにも関わらず私たちはブレイクすることができませんでした。敗因としては、例えば「ここを押せば勝てる」ということを頭では分かっていても、知識が足りず説明が中途半端になってしまったり、拙い英語ではジャッジに伝わらなかったり。あるいは、オープニングとは違うエクステンションを出せたと思っていてもその議論の重要性までを説明しきれず浮いてしまったり。どこかのチームに勝つことはできても、BPの4チームの中で一番存在感があったとジャッジに思わせるのは難しく、悔しい思いばかりしました。実際にやったことがあるか見たことがあるモーションばかりだったので、なおさらでした。
 でも代わりに学んだことも沢山ありました。ラウンド後にジャッジにもらったフィードバックで、自分でしくってしまったと思っていた以外の欠点に気づき、またラボやイレクティブで学んだ内容の一部をスピーチに生かすこともできました。特にADIのトーナメントは普通の大会と違ってジャッジがレクチャラーなので、いつもより細かく分かりやすいリフレクやモーションの背景の解説などが聞けて、すごく勉強になりました。
 
 そしてなんといっても嬉しかったのが、同じHit-Uから2人がブレイクしたことです。
 Quarter finalistの世永智也(Harakiri Union B with Keio野原もなみちゃん),
  Oct Finalistの今紀貴(Harakiri Union A with UT井口桑くん),
  本当におめでとう^^
Congrats on getting to the Semi-finals!


Congrats on getting to the Octo-finals!


 ブレイクナイト(を兼ねたオフィシャルディナー)はChungAng University近くのサムギョプサル屋さんで行なわれたのですが、韓国人ディベ―ターに交じって韓国的ノリ(=かなりのハイペース)でお酒を飲みながらHit-U含め日本人のチームが次々ブレイクしていくのを聞くのは本当に興奮しました(笑)

 と、そんな感じで私たちEating GirlsのADIトーナメントは終わりました。ブレイクラウンドはどこもレベルが高くて、聞いていて勉強になったしそれ以上に楽しめました。でもやっぱりmanner(やfluency)では劣り気味な"純ジャパ"のディベ―ターもmatterではGFに残りうる、というのがいちオーディエンスとしての私の正直な感想です。もちろん帰国子女云々に関わらずfluencyの高い日本人のディベ―ターはたくさんいらっしゃいますし、それが日本人に限った話とは思っていません。また何より私が言えたことでは全然ないのですが、ブレイクラウンドに行った方々も同じようなことを感じているのではないかと思います。それだけにやはりmannerの重要性も実感しました。同じことを話していても細かくリアリスティックな描写や説明ができることで、よりジャッジを動かせるのだと思いますし、逆に言えば、すぐrefuteできるようなことでも現実味のあるargumentになりうるので、その分こちらとしてもengageに時間を割く必要がでてくると思います。
 
 そしてまた話を戻すと、ブレイクラウンドの日はADI最終日でもあったので、Closing Ceremonyでは全員に修了証、Breaking Teamsとラボごとの優秀者への表彰が行われ、Loganのclosing adressではなぜだか「closing ceremonyまで残ってくれている参加者が今までで一番多い!」といたく感動され(笑)、今年のADIは終わりました。
 月並みなことを言えば、1日1日が内容の濃いADIでしたが終わってみると本当に短くて、このADIを通じて自分が成長できたかどうかを実感することはまだできません、それでもやっぱり参加する前より絶対にディベートを楽しと思えるようになったし、これからのラウンドでADIでの自分なりの収穫を活かしていきたいとも思います。
 最後に、パートナーとして一緒に頑張ってくれた美穂、本当にありがとう!相変わらず大好きです^^

Eating Girls! =P
おしまい!