6月 練習の近況報告

 こんにちは、社会学部2年の保科沙綾です。

さて、ひっちゅーは今年度の新入部員が加わり、普段の練習もフレッシュな雰囲気です。

今回は、主に春夏の大会を見据えて行っている最近の練習について、近況報告という感じでお届けします!

私が個人的に面白いと思ったラウンドについて、どんなアーギュメントが出たか見ていきたいと思います。




6月5日、この時は1年生が3人、2年生が2人だったので、1年生にスピーチ練習をしてもらいました。

3人ともガバメントでスピーチ → 20分プレパ → 3人ともオポジションでスピーチ

というフローで行いました。


モーションは THW introduce a quota to the number of female board of executives of companies. でした。


※性別やジェンダーに関する概念については、今回のラウンドでは伝統的と思われる男女観をSQとして議論を行いました。ジェンダーの概念を主要な論点とするラウンドとはならず、この点に関しては単純化されている事をご承知おきください。



~ガバメント~


3人ともSQ(Status Quo)とAP(After Plan)の差分を広げる形式でアーギュメントを展開してくれました。

現状では男性優位、女性の声が聞かれていないことをイラストし、このモーションによって女性にどのような利益があるのか、という所を具体的にすることが求められました。


①子育てや介護に直面して勤務時間が少なくなる女性たちが、正当に評価されない。

それにより女性がなかなか昇進できないという現状があるが、改善できない。これは男性トップの現状が招く悪影響であり、女性も役職につけることでこれを改善する必要がある。

②役職のあるメンバーがほとんど男性の場合、女性の消費者の目線を取り入れた事業展開ができない。これは間接的に利益の減退につながっている。(よって、クオータ制を取り入れることは、利益の最大化を常に志向する企業にとってもメリットがある)


本当にざっくり言うとこれらの2つのポイントが、今回全員に共通するアーギュメントでした。


女性が育児や介護に直面する可能性がどれほど高く、またそれらは特別休暇や突然の休みをいかに必要とするか、という点を具体的にイラストしたスピーチがあって、印象に残りました。

また、これとセットで、「なぜ企業は、より長い時間勤務してくれる従業員をより昇進させたいのか」という点もしっかり説明することが重要になります。スピーカーの1年生たちはここまで明らかにしていて、1年生、レベルが高い...!と感じたポイントでした。



~オポジション~


オポジションサイドでは、このモーションが女性を守ることには逆効果であると説明するアーギュメントが多かったように思います。


①女性はクオータ制に頼って役職を得ているだけで、必ずしも能力は伴わない、と認識され女性への偏見が増すだけだ。また、女性が正当に評価されて実力を示す機会を奪う。

②女性だけが優遇されているように映り映り、男性社員からのバックラッシュがある。それにより女性の精神的なharmが生じる。

③クオータ制によって役職を持った女性は、育児など家庭での役割と、会社での重職の役割を両方勤めるのは大変。両方に高いクオリティが求められる場合もあり、バーデンが大きすぎる。


まとめると、これらが主なアーギュメントでした。


クオータ制が上手く機能しないことが予想される場面の例として、スピーカーの1人がSTEM (Science, Technology, Engineering, and Mathematics) を挙げてくれました。この例示はとても効果的に立論に生かされていました。

この立論の概要としては、


1⃣STEMの分野では、能力中心主義的に人材を登用しても男性の割合が高くなる傾向がある。

2⃣男性の人数が多い場合に、その比率とは異なる人数比で女性を登用するクオータ制をとると、十分な能力の伴わない女性の登用が起こりやすくなる。

3⃣男性が女性に反感を抱いたり、女性社員の仕事の能力を疑ったりする。

4⃣女性への評価を下げる原因になりうるし、男女ともに仕事の効率低下につながる。

(←ラウンドの文脈がないと分かりづらいので、本ラウンドのジャッジだった保科が勝手に付け足します...! 男性が女性の能力を疑うと協働しづらくなったり、男女の社員の間に精神的な溝ができると、上手くコミュニケーションが取れなくなり効率が下がる、というようなニュアンスかな、と思います。)


文面でつらつらと書くと大変わかりづらいですが、

インパクトまで落ちきっているか、論理の飛躍がないか、具体的にイラストする事が出来ているか、などを考えながら聞くと、理路整然としており面白かったです。


本ブログ中では「ラウンド」と形容していますが、この練習回は人数が足りずラウンド練習(肯定側2人・否定側2人+ジャッジ、による実践的な試合形式の練習)をする事ができませんでした。

ラウンド練習ができれば、実践的にタイムマネジメントや反論の練習もできて、より良かったかもしれません。

私が1年生の時には、ラウンド練習とスピーチ練習(参加人数や個人の希望に合わせたロール配分で個人スピーチ練習をし、フィードバックをもらったりする練習形態)のバランスが良かったことが、効果的な練習につながったと個人的に分析しています。

私はスピーチ練習で先輩方にみっちりポイントを教えて頂き、それを実践的に試したり、チームメイトと共有してアドバイスを体系化したりする場としてラウンド練習を活用していました。

1、 2年生が協力して、両方の練習形態をバランスよく行うことがコツではないかと思います☀


さて、長々と書いてきました。ここまでお読み下さり、ありがとうございます!

6月なのに、既に毎日暑いですね…

でもなんとディベートは、猛暑日でも涼しい部屋で練習できてしまいます…!zoomという文明の利器により、おうちから一歩も出ずラウンドができるなんて…。


また、YouTubeで「EUDC2008」と検索すれば、私が気に入って何度もリピート再生している、伝説のディベート動画がスチャっと出てきます。(なんて便利な時代でしょう…)

いつでもどこでも練習や勉強ができてしまうディベート、恐るべしです。

学期中よりも自由な時間ができる夏休みは、少しでもディベートの研究をしたいです✨


ではまた!


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